「できる」という感覚を育てる
まだ寒いとはいえ、節分も過ぎ、春も近くなってきました。
木々を見ると、春に花咲くために、木の芽が準備を始めています。
さて、今日は、自己効力感が、テーマです。
自己効力感とは、一言でいうと「できるという感覚」です。
ロンドン五輪にてボクシングで日本人初の金メダルを取った村田諒太選手が、以前、ラジオで面白いことを話されていました。
まだ、日本代表にも決まっていないとき、自宅に帰って冷蔵庫を見ると、そこに
「金メダルを取らせていただいてありがとうございます」
という紙が貼ってありました。奥様が貼ったそうです。
それを見て、最初は半信半疑だったのですが、毎日それを見ているうちにだんだん金メダルがとれそうな気がしてきたということです。
暗示の効果で、金メダルを取ることについての、自己効力感が育ってきたといえるかもしれません。
この自己効力感が、金メダルの獲得にプラスの影響を与えたことは想像に難くありません。
このことを「人を育てる」という立場から見てみると、二つのことに思いがいたります。
一つ目は、ポジティブな言葉に繰り返し接することで自己効力感が育ったということです。
スポーツの場面だけに限らず、相手に言葉を投げかけるとき、自己効力感が育つような言葉を使っているかどうか、ときどき、振り返ってみることが大切かもしれません。
「ここがだめ」という言い方が増えてしまったなと思ったら、「こんなことができて、すごいね」というように、できているところの指摘も増やしてみることが大切かと思います。
二つ目は、「金メダルを取らせてくれてありがとうございます」というように、あたかもすでに達成したかのように書いてあることです。
すなわち、金メダルを取ることが当たり前の「前提」として書いてあります。
この「前提」ということは、意外に大切です。
「また、失敗して」「いつもこうなる」という表現には、あなたは、この先もダメだろうという「前提」が入った言葉です。そこには、この先、失敗するという暗示が入っています。
「こうしたら、さらに良くなるよ」「君らしくないね、少し迷ったかな?」というように、君はできる人間だという「前提」が入った表現にして話すと、相手の方は自己効力感を育てることができます。
言葉の微妙な使い方が大きな違いを生みます。
時々、使っている言葉を見直すことで、人間関係や目標の達成度合いが変わっていきます。
株式会社Rainbow 心理教育 顧問 浦田健吾
メンタルトレーニング 心理カウンセリングのブレイントレイン名古屋
新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
年末年始、ご家族でゆっくりする機会はありましたか?
どんな時間の過ごし方をされたでしょうか?
かつて、日本の伝統では、お正月にする遊びというものがありました。
羽子板、たこあげ、こままわし、福笑い・・・・
こうした体を使う遊びは、お正月遊びに限らず、人間にとってとても大きな意味があるものだといわれています。
子どもは、乳児のころから、さまざまな体を使う遊びの中で、感覚を育て、探求心を育て、物事をやりきる心や、創意工夫、主体性、そして人間関係を身につけていきます。
それが将来の学習能力、運動能力、健康、コミュニケーション能力の土台になっていきます。
遊びは、成長してからも大切です。
また、名前がついている遊び以上に、その場で即興的に生まれる遊びがとても大切です。
そうした、遊びは、一見すると無意味なように見えますが、それこそが、とても重要です。
私が、中学のサッカー部中学二年の時、顧問の教諭から「君たちの世代はこれまでで最弱だ。」と言われたのですが、仲間で練習以外に、自発的にサッカーテニスをしたり、砂場でサッカーをしたり、皆でプールに行ったりしているうちに、どんどん心身が整っていき、チームワークができて、とうとう春の東海四県大会で優勝したことがあります。
遊びというのは、とても主体的なものです。体や心が欲する動きをします。ルールも自分たちで決めます。そのなかでルールがあることの意味や、大切さを学んでいきます。
こどもに限らず、大人も練習や仕事の合間に、体を使った遊びを取り入れることで、おもわぬ進化、成長をすることがあります。
ぜひ、今年一年、遊び心をもって、前進していただけたらと思います。
株式会社Rainbow 心理教育 顧問 浦田健吾
メンタルコーチング・心理カウンセリングの
ブレイントレイン名古屋役員・顧問
<大きな夢を描いてみる>
今年も、早いもので、12月です。みなさん、今年はどんな一年でしたでしょうか?
そして、来年はどんな一年にしたいと思われますか?
さて、今日は、人生の夢や目標という事について、書きたいと思います。
ある小学6年生が、書いた『僕の夢』という作文があります。とても有名な作文です。
それは、「僕の夢は一流のプロ野球選手になることです。」という文章から始まります。そして、どこの球団に入りたいのか、契約金はいくらか、そのために一歩一歩どんなことをしていく必要があるか、自分はどんな力を持っているのか、何を大切にしたいかが、しっかりと事細かに、展望と確信を持って書いてあります(『心に響く小さな物語』に所収)。
大人から見ても、実に説得力のある文章です。
そして彼はその後、球史に残る超一流のプロ野球選手に成長していきます。
私は、望む人生を手に入れ、価値ある人生を送るために重要な要素として、以下の3つが大切だと思います。この作文は、小学6年生にして、しっかりその要素が満たされていることに驚かされます。
今日は、一つ目の①「わくわくする大きな夢を描く」について考えてみます。
ここでは夢とは、まだ日付が入っていない長期的な目標とします。その人の願いとそのイメージです。
わくわくする夢は、人に希望を与えます。前進するエネルギーを与えます。北極星のように、進むべき方向性を示してくれます。そして、そこに向かっていく中で大きな成長や成果を手にすることができます。
人類の進歩も、夢から始まっているようにも思えます。空を自由に飛びたいという人類の夢があったからこそ飛行機が生まれました。宇宙を旅したいという人類の夢があったからこそ、ロケットが開発されました。
夢が大きければ実現する出来事も大きくなります。固定観念にとらわれ、夢を自分で制限することはもったいないように思います。
ときには「何の制約もなかったらどうなりたいか?」を考えてみることもよいかと思います。
もちろん、夢を描いただけでは、何も実現しません。その描いた夢に向かって、一つ一つ小さな目標を達成していくことで、現実化していきます。
そして、未来ばかりを見るのではなく、今、ここにあるものを感謝し、大切にすることも重要です。
そうすれば、夢の本当の素晴らしさは、今日、今、この時を豊かに充実させてくれることであることに気づきます。
さて、冒頭の作文は、イチロー選手が6年生のときの作文です。彼は、人々の予想をはるかに超えた偉業を成し遂げています。
来年は、どんなことをしたいですか?
株式会社Rainbow 心理教育 顧問 浦田健吾
メンタルコーチング・心理カウンセリングの
ブレイントレイン名古屋役員・顧問
<たくましいメンタルを育てるために大切なこととは?>
“サーシャ バイン コーチ”
大坂なおみ選手が全米オープンテニスで優勝し、コーチのサーシャ バインさんの役割が注目されています。
報道によると、大坂選手は、これまで、200キロを超えるサーブを持つなど才能に恵まれながらネガティブな感情になりやすく、結果を出せなかったそうです。
試合中に感情の負のスパイラルに陥った大阪選手に、サーシャコーチがしゃがみながら冷静に語りかけている姿が印象的です。
負のスパイラルに陥っている選手に、上から、
「なぜ、できないんだ!」と怒っても効果はありません。
下を向いている相手の目線の下から、冷静に、優しく、波長を合わせながら、語りかけます。
これを、心理学ではペーシングと言います。
そうすると言葉が徐々に届いていきます。
そして、うまくできている点を、具体的にあげながら、思い起こさせます。
「この点がうまくいっているから、今が辛抱する時だ。」
「相手はこの点で苦労しているから、ここにチャンスがある。」
これを、心理学ではリフレーミングと言います。
そうすることで、本人に冷静さが伝染し、うまくできていることに目を向けられるようになっていきます。
“うまくいっているところに目を向ける”
うまくいっているところに目を向ける能力=リフレーミング力は、逆境を乗り越えるためにとても大切です。
スポーツにおいては、勝敗や上達に密接に関わります。
この能力を育てるには、子どもの頃からの習慣が大切です。
そのためには、指導者やご家族の方が、物事がうまくできている、うまくいっているところを、伝えてあげることが大切です。
それを通じて、子どももそういう思考法を身につけていきます。
大人ですら、案外、自分がうまくできているかどうかわからないものです。
反面、失敗したことには、妙に覚えています。
ですから、子どもの場合は特に、指導する立場の人や家族が、
うまくいっていること、
うまくできていることを、 繰り返し、しっかりと伝えることは、リフレーミング力を育てる上でとても大切です。
幼い頃は、ほめるというのもその1つです。
将来、勝負に強い選手に育つとともに、人生のあらゆる課題を力強く乗り越えていく人物に育っていきます。
株式会社Rainbow 心理教育 顧問 浦田健吾
メンタルコーチング・心理カウンセリングの
ブレイントレイン名古屋役員・顧問
<幸せな人生を作る5つの柱>
あなたは、この1年幸せですか?
100点満点でいうと、どれくらい幸せですか?
この質問に対して、あまり高い点ではないとしたら、以下の5つのどれかが、あまり充実していなかったのかもしれません。
①ポジティブな感情の経験
②フロー体験(心身の調和体験)
③達成した体験
④していることや人生全体に意味・意義を感じる体験
⑤良好な人間関係
これらの5つは、幸せが長続きする人生を歩んでいくうえで大切な要素といわれています。
一瞬の幸せでしたら、おいしいものを食べたら手に入ります。
しかし、安定した、幸せが長続きする人生を作るには、5つのそれぞれが大切です。
私はこれを「長続きする幸せを手にするための5つの柱」と呼んでいます。これらがバランスよく成長していくことで、土台がしっかりした幸せな人生へと向かっていきます。
そして、それらは受け身の姿勢では手に入らず、自らの手で意識して作り上げていく必要があります。
スポーツの世界では、達成ということが求められます。達成感を得ることは幸せな人生を歩むために大切です。そのために日々努力しています。
また、スポーツ以外にも、とくに若いころは、学業や芸術など、あらゆる分野で達成ということに駆り立てられます。
ただし、人生全体を考えたとき、それ以外も必ず重要になってくることは、視野に入れたいところです。
そして、良い結果・良いパフォーマンスを発揮するためにも、この5つのバランスが重要です。
このコラムでは、これから、①~⑤を育てていくという観点から、さまざまな心理技術を紹介していきたいと思います。
株式会社Rainbow 心理教育 顧問 浦田健吾
メンタルコーチング・心理カウンセリングの
ブレイントレイン名古屋役員・顧問